栗一枚板のカウンター

これも過去の家づくりになりますが、こちらのお施主様はトイレにパナソニックのアラウーノを指定されました。高萩建設にいらっしゃる前にパナソニックのショールームに行き、見積を作成されるほどの熱の入れようです。その見積もりにはトイレ本体だけでなく、パナソニックのトイレカウンターも含まれていました。

               パナソニックのHPより

高萩建設ではお好きな会社の設備を選択することができますので、もちろんパナソニックのアラウーノも問題なく採用することができます。ただ、トイレカウンターについては、別の案を提案し採用していただきました。パナソニックのカウンターの代わりに、栗の一枚板でカウンターを作らせていただきました。

テーブルの栗一枚板は指定させていただきましたが、それ以外の水栓やペーパーの位置、リモコンのスタンド等についてはお施主様と相談しながらお施主様のイメージを形にしていきました。また、当初より余った予算でトイレ本体のグレードを上げることができました。

もちろんお施主様の意見は尊重しますが、家づくりはお施主様だけで行うわけではないのも事実かと思います。代表としてはお施主様の満足を最大化できるよう、これまでの経験を活かしながら一緒に家づくりをしていきたいと思っています。

 

窓タイプ:縦すべり出し/横すべり出し

今日は前回に引き続き窓の話です。窓にはいくつかの種類がありますが、今日は縦すべり出し窓と横すべり出し窓について説明させていただきます。どちらも窓が外に張り出すという点では同じですが、機能的には別になります。

縦すべり出し窓-室内側

縦すべり出し窓は高さ方向に張り出すため、より多くの風を取り込むことができます。縦すべり出し窓の風を取り込むというメリットをより引き出す窓として「ウインドキャッチ窓」というのものもあります。要は左右に縦すべり出し窓がついた大窓なのですが、片方の窓で風を取り込み、室内で循環した風をもう片方の窓から吐き出すのです。窓が東西もしくは南北の片方にしかつけられない場合でも、より効率よく空気の入れ替えができます。弱点としては風が取り込みやすいこともあり、雨が降ってきた場合容易に室内に吹き込んでしまいます。よって、庇など屋根の張り出している所に採用するのがオススメです。

ウインドキャッチ窓-YKK AP社のHPより

横すべり出し窓は横方向に張り出す形になりますので、小雨が降っても換気ができるというメリットがあります。車の窓についているバイザーのように、上から降ってくる雨は窓にあたって落ちるため、室内への侵入が少なくなります。もちろん横風が強いような場合は入り込んでしまいますが、小雨であれば窓を開けたままにすることができます。

横すべり出し窓

注意点ですが、縦すべりも横すべりも窓が外に張り出す構造になっており、張り出す量は調整できるものの、張り出した状態ではロックがかからないため、外から開く量を調整し、全開にすることができてしまいます。よって防犯上は普通の引き違い窓と大差がありません。外側から全開にすることができない窓として「ツーアクション窓」がありますが、こちらについては次回以降に紹介いたします。

たかが窓枠、されど窓枠

高萩建設の家の工期は施工面積にもよりますが、約半年いただいております。今年引き渡した物件のご近所でも、同じタイミングで建築スタートした家があっという間に引き渡されていたり、後からスタートしたのに、引き渡し時期がほぼ同じということがありました。お急ぎのお施主様には申し訳ないのですが、代表の目の届く範囲での施工となると、どうしても工期が長くなってしまいます。契約時にはその旨ご理解いただいた上で、契約を結んでいます。

そんな工期の長い高萩建設の家ですが、その理由の一つに既成の建材をほとんど使わないことがあります。例えば窓枠ですが、一本の枠材を一つ一つの窓の寸法に合わせ、ミリ単位、時にはそれ以上の精度で切り出し、施工しています。ご存じない方も多いと思いますが、木造住宅の窓枠のサイズは一つ一つ微妙にサイズが違うんです。(ミリ単位以下の精度は職人のエンピツの力加減で調整します)

その結果として出来上がったのが写真のような窓枠で、特に四隅の仕上がりは腕の見せ所です。施工する季節(温度/湿度)を考慮して寸法を調整するため、引き渡し後の寸法の狂いも少ない窓枠が完成します。ただし、無垢の窓枠は日焼けや水濡れなどで色が変わってしまいます。また、塩ビシートなどと比べると細かな傷などがつきやすいです。これを無垢の味としてそのままにするか、どうしても我慢ならないときは、サンドペーパーで表面を削る裏技もあります。このようなことは既成の窓枠ではできないことです。

高萩建設の家は外断熱構造ですが、その特徴は家が建ってしまうと外見からはわかりにくいものです。その中でも窓枠は外断熱であることがわかる数少ないポイントです。窓枠の奥行は、柱の太さ、構造材の幅、断熱材の幅の合計となります。内断熱の家の場合、窓枠の奥行は柱のと構造材の合計になるため、外断熱の断熱材の分奥行が浅くなります。高萩建設の家の窓枠は奥行が20センチ近くになります。ちょっとした小物が置けるスペースがすべての窓に出来ることになります。どう活用するか考えるのも楽しいのではないでしょうか。

 

窓と気密性

今日は少しマニアックな話になります。「涼温な家」はもちろん高気密高断熱が特徴ですが、それを実現する要素の一つとして、窓は非常に重要なものとなります。窓というのは壁よりも断熱性も気密性も劣るものであるため、高気密高断熱を追求するのであれば、窓はできるだけ少なく、小さくする必要がありますが、それも「住む人」が満足できるレベルで追求すべきと代表は考えます。

「窓」にはいくつかのタイプがあります。日本で最も多く使われているのは引き違い窓だと思います。真ん中に鍵(クレセント錠)があって左右どちらからも開くことができるものです。確かに利便性は高いのですが、気密性は他のタイプに比べると劣ります。気密性が極端に低いと「すきま風」になりますが、さすがに今どきの窓ですきま風を感じることはないと思います。高萩建設ではYKK AP社のAPW330という窓を標準としています。この窓には引き違い以外にも、縦すべり出し、横すべり出し、ツーアクション(海外ではドレーキップという名前が一般的です)、FIXなどいくつかのタイプがありますが、引き違い窓とそれ以外の窓の気密性には大きな差があります。大きな違いは窓枠にパッキンが入っており、窓を閉める際にはそれを潰す形で閉めているのです。家庭によくあるビンの蓋にもゴムのパッキンがあると思いますが、それがないと横にしたときに中の液体が漏れ出てしまうと思います。

一般的な引き違い窓

横すべり出し窓(窓が外に張り出します)

ツーアクション窓(縦にも横にも開くことができる)

だいぶ引き違い窓をディスってしまいましたが、気密性能はさておき、日本の家としての利便性を考えると引き違い窓は選択肢から外せないのは事実です。どうしても外せない箇所は引き違い窓を選択し、それ以外の場所には引き違い以外のタイプの窓をおすすめしています。それぞれの窓の特長についてはまたの機会に説明させていただきます。