「涼温換気」の屋根裏部屋

涼温換気の家は、天井(屋根裏)にその心臓部があります。第一種換気システムとエアコン、それらの空気をミックスするチャンバーを設置します。

第一種換気システムはパナソニック社の熱交換器ユニットFY-23KBD1もしくはFY-30KBD1、エアコンはダイキン社の業務用のユニット(SZRMM50BBV等)を使用します。そして、それらで熱交換された空気とエアコンからの吹き出しをミックスするチャンバーが涼温換気のキモであり、「いい家をつくる会」のオリジナル仕様となります。屋根裏と説明しましたが、それぞれの家のレイアウト次第で、2階の天井の上と屋根の隙間に小屋裏を作り、そこに設置するのが一般的です。

屋根裏の涼温換気システム

ここでフィルターを通した外気を熱交換器とエアコンで温度調整した空気を、「いい家をつくる会」オリジナルのセンターシャフトとダクトで各部屋に送り届けます。各部屋の温度調整はシャフトやダクトの先端のガラリ部分とリモコンで調整します。冷気と暖気を上下ガラリの風量を調整して使用することで、部屋の床部分と天井部分の温度調整を行えます。ガラリが一つでは部屋の上下で温度差ができてしまいます。

センターシャフトと給気ガラリ

ドアを開けるとセンターシャフト

さて、高萩建設の家を検討される方には、「床下エアコン」や「小屋裏エアコン」と比較される方もおります。代表は床下エアコンの検討はしたことはありますが、施工したことはないため、どちらが良いかとは断言できません。しかし、床下エアコンの最大の課題はエアフローのレイアウトと床下のクリーン度をどう保つかだと思います。すなわち、床下をダクト代わりに使うため、床下すべてをクリーンにしないと、床下のホコリを多少なりとも室内に巻き上げてしまう懸念があると考えます。現実問題として、床下は人が入って動き回るには狭すぎるるため、定期的に掃除機を持ち込んで掃除するのは困難です。また、エアフローと強度を両立した基礎の設計が難しいとも考えます。エアフローを考慮した基礎を設計しないと、どうしてもエアコンの周りだけで空気が循環してしまい、エアコンから離れた部屋の温度が低くなります。遠くに温かい空気を送るためにサーキュレーターのようなファンを設置するアイデアもありますが、そうなるともはやダクトを設置した方が早いのでは、と思ってしまいます。結果、床下エアコンより、涼温換気のほうが良いと考えます。

高萩建設の床下(高さ50センチもありません)

涼温換気の家も床下部分にも給気口を設置しますが、その空気を積極的に室内に取り込むのではなく、床下の断熱エリアまでトータルで温湿度を調整することが目的なので、床下エアコンの考え方とは異なります。また、涼温換気はセンターシャフトとダクトで各部屋個別に流量管理できることと、フィルターでホコリを除去した空気をダクトに流すため、ダクトが汚れることはありませんので、ダクトの掃除は不要です。確かめてみたい方は是非モデルハウスにいらしてください。ただし、排気に関しては部屋のホコリなどを取り込むため、排気口にホコリ止めのフィルターを付けてあります。熱交換器を通って外に排気されてしまう空気ですので、そこまで神経質になることはないと考えます。

屋根裏のお話のはずが床下エアコンの話になってしまいましたので、屋根裏の話は後日もう少し続けさせてください。

35年目のリフォーム

今回ご紹介する現場は新築ではなく、リフォームの現場になります。ここは35年前、代表が大工を始めてまだ駆け出しのころに手掛けた現場になります。もちろん、毎年定期点検を続けさせて頂くと共に、給湯設備やエアコンなどの設備の急なトラブルあれば対応しておりましたが、外壁という大がかりなリフォームはこの現場では初めてのことになります。代表が手掛けた建物については、建てた後も責任をもって対応しており、特に季節の変わり目などは新築の現場とメンテナンスの掛け持ちをすることもあります。

 

35年前には外断熱という考えはなく、この建物も内断熱で建てたものですが、今回のリフォームで外壁の外断熱化を行いました。一部の窓を高性能サッシに交換、霧除けおよび破風をガルバリウム鋼板で巻きなおしてあります。

外壁材にはニチハ社の窯業系サイディングであるシャルムロックプレミアムを使い、アクセントとして二階正面に松の横格子を取り付け、一階中央に松の立て張りを取り付けています。この外壁材は塗装の30年保証が適用されるほど耐久性の高いものになります。この高耐久な外壁に合わせ、木部の塗装にはシッケンズの塗料を使っています。色は外壁とのマッチングを考慮してビニーを選択、アルミ色のベランダも良いアクセントになっていると思います。

もちろんお施主様には出来上がった外観に満足頂いておりますが、外断熱化による性能については秋から冬になり、寒さが本格的になってきたときに実感いただけると思っていおります。年末には定期点検に伺う予定なので、その際に感想を聞いてみます。

遠くから見ても存在感のある外観になったと思っています。

窓タイプ:FIX窓

窓の話もこれで3回目になりますが、今回のFIX窓で一区切りです。FIX(フィックス=固定)窓は、文字の通り窓が固定されており、開くことができません。よって、断熱性/気密性もすべての窓タイプで最高のものになります。もちろん、換気は全くできないのですが...

                                 YKK APカタログより

また、この窓のもう一つのメリットは、窓枠が狭いので窓に対するガラスの面積もほかのタイプより広くなります。窓というのは窓枠に意味があるのではなく、ガラス部分に意味があるので、その面積が広いほうがメリットがあるといえるのではないでしょうか。また、普通の開くタイプの窓に比べて圧倒的に価格が抑えられているというメリットもあります。機構部分がないので安くなるのは当然なのですが、性能が良くて価格メリットもあるという、ある意味いいとこ取りの窓になります。

FIX窓は換気ができないというデメリットはありますが、高萩建設の家であれば、第一種換気システムで換気されている上に、全館冷暖房であるため、窓を開けるのは春や秋の気温がちょうど良いときだけであり、夏の暑い時期のように家のすべての窓を全開にして室内の熱を逃がしたい、という必要性は全くありません。よって、外の道路に面しており、人の視線が気になる窓や、天井に近い位置に設置されている、手の届きにくい窓についてはわざわざ開閉機構をつけるメリットはそう大きくないともいえます。そういう背景の中で、FIX窓がどこに使われるかの例ですが、廊下の高窓、吹き抜け部分、クローゼットなどの明り取りの窓として使われることが多いですが、それ以外にもリビングなどの大きな部屋、窓の多い部屋であれば、一部をFIXにするという選択もアリだと思います。また、階段など、手の届きにくい場所も思い切ってFIX窓にしてしまうと良いのではないでしょうか。

                                 YKK APカタログより