「涼温換気の家」の夏

今年は7月後半から急に暑くなり、茨城県でも30度を超える日が続いています。「涼温換気の家」はエアコン1台で家全体を快適な状態を保つことができますが、全館冷暖房というと電気代が高そう、というイメージもあると思いますので、一例として茨城県日立市の家の一日の電気消費量を公開したいと思います。

この家は52坪の2階建て、5人家族、オール電化ですが太陽光発電無しという条件です。今年の7月22日の日立市の最高気温は31度でしたが、朝7時からエアコンON、夜0時にエアコンOFFにしていました。夜間は外気温が低いとは言え、エアコンOFF、窓を閉じた状態で室内の温度が上がらずに朝までぐっすり寝ることができるのは、高気密高断熱の構造と熱交換のできる第一種換気のお陰かと思います。ちなみに、昼間の気温の高い状態、エアコンの消費電力が大きい時間帯も1時間当たり1kWh台で推移しており、1kWhで電気代が28円とすると、真夏でも1日あたり数百円で、24時間快適な室内環境を得ることができます。

令和3年7月22日の電気消費量グラフ、当日最高気温31℃

今回掲載した電気消費量のグラフですが、契約している電力会社のサイトで確認できるものをお施主様に提供してもらいました。現在は各家庭にスマートメーターが取り付けられており、30分毎の消費電力量が1時間遅れくらいでインターネット経由で確認できるのです。HEMSなど特殊な機器を設置することなく、その家の消費電力量を確認できる、便利な世の中になりました。もちろんHEMSなどの特殊な機器を設置すれば、部屋ごとやコンセントごとの消費電力量がモニタ―できますが、設置当初は頻繁に確認するものの、そのデータを長く活用している方は意外と少ないようです。

パナソニック社のHEMS(AiSEG2)イメージ   (パナソニックHPより引用)

さて、今回の日立市の家の7月の消費電力量ですが、一日あたりの消費電力量は7月後半からの気温の上昇と共に増加傾向でしたが、1か月で500kWh、1万5千円弱でした。この1万5千円というのを高いと思うか安いと思うかですが、この猛暑の中で52坪の家を24時間快適な温度に保ち、オール電化でガス代や灯油代などの出費は無し、5人家族という条件を加味すると、安いといえるのではないでしょうか。特に夜に窓を閉め切った状態で朝までグッスリ眠ることができ、夏バテとは無縁の生活ができて良かったというのがお施主様のコメントでした。

令和3年7月の電気消費量グラフ、約500kW、15,000円弱

 

 

窓タイプ:ツーアクション窓

前回は縦すべり出し/横すべり出し窓について説明させていただきましたが、今回はツーアクション窓についてです。

ツーアクション窓の概要は以前説明した通りですが、この窓は欧州(特にドイツ)で多く使われている窓になります。ツーアクション窓はドイツ語ではドレーキップ窓と呼ばれており、ドレーン(回すという意味)とキッペン(傾けるという意味)を合わせた名前となります。名前の通り、ハンドルを90度回すと内側に開くことができ、180度回すと少し内側に傾けることができます。内側に全開すれば換気量を大きくすることができたり、窓の外側を簡単に掃除することもできます。

内開き状態


内倒し状態(換気)

室内に窓の内側が入るということは外の汚れを室内に入れてしまうということになるので、それが気になる方にはお勧めできませんが、内側への全開、室内側への傾けという、2つの機能を持つ唯一の窓になります。縦すべり出し窓程の大量換気は望めませんが、内開きによる換気と、横すべり出し窓同様に内側傾けによる降雨時の換気の両方を実現できます。さらに、内側傾けの量はそれほど大きくないため、外側からそれ以上窓を開くことができません。防犯上問題ないとは言い切れませんが、夜間に他タイプの窓を開けて寝るよりははるかに安心できると思います。

内開き時には汚れた外枠が室内に入ってしまいます

また、内側に開くことによって、普通の内断熱の家ではカーテンやブラインドなどに干渉してしまうことがありますが、高萩建設の場合は外断熱であるため以前説明した通り窓枠に奥行があるため、ツーアクション窓を内倒しにしても、カーテンやブラインドに干渉しません。外断熱工法とツーアクション窓の組み合わせ、結構良いと思います。

内倒ししてもカーテンに当たりません

 

 

 

 

上棟

まず、以下の写真をご覧ください。

これらの写真はいずれも上棟時の写真ですが、小屋裏2階建て、平屋建て、2階建て、どのタイプでも基本的に仕様は同じです。木材は100%地場材を使用しており、材質は土台が栗、柱は杉、特殊柱は栗や欅、構造材は梁や桁は主に杉材を使用しております。また、土台/柱共に4寸(120mm)を使用しています。

写真中央で養生されているの2本が特殊柱になります

栗の土台は以前から説明させていただいている通り、シロアリの食害を最小限にする効果がありますが、高萩建設の場合シロアリ被害ゼロであるため、実際に基礎を上がって土台に到達できたシロアリはいません。よって、実際にその効果が実感することはないのですが、栗の土台は硬さもあるため、柱を安定させる(=耐震性を高める)効果もあります。軟らかい土台の上に柱を立てると、特に2階建てでは柱が土台にめり込むこともあります。

もう一つ補足ポイントがありますが、上の写真の基礎部分にサビのようなものが見えると思いますが、これは栗の土台から渋が染み出しているもので、栗材を使っていることの証明にもなります。もちろん基礎部分はモルタルで仕上げるので、完成した家ではすべて隠れてしまいますが、上棟時にサビではないかとお施主様が質問されることが多いポイントでもあります。

 

 

栗一枚板のカウンター

これも過去の家づくりになりますが、こちらのお施主様はトイレにパナソニックのアラウーノを指定されました。高萩建設にいらっしゃる前にパナソニックのショールームに行き、見積を作成されるほどの熱の入れようです。その見積もりにはトイレ本体だけでなく、パナソニックのトイレカウンターも含まれていました。

               パナソニックのHPより

高萩建設ではお好きな会社の設備を選択することができますので、もちろんパナソニックのアラウーノも問題なく採用することができます。ただ、トイレカウンターについては、別の案を提案し採用していただきました。パナソニックのカウンターの代わりに、栗の一枚板でカウンターを作らせていただきました。

テーブルの栗一枚板は指定させていただきましたが、それ以外の水栓やペーパーの位置、リモコンのスタンド等についてはお施主様と相談しながらお施主様のイメージを形にしていきました。また、当初より余った予算でトイレ本体のグレードを上げることができました。

もちろんお施主様の意見は尊重しますが、家づくりはお施主様だけで行うわけではないのも事実かと思います。代表としてはお施主様の満足を最大化できるよう、これまでの経験を活かしながら一緒に家づくりをしていきたいと思っています。