窓と気密性

今日は少しマニアックな話になります。「涼温な家」はもちろん高気密高断熱が特徴ですが、それを実現する要素の一つとして、窓は非常に重要なものとなります。窓というのは壁よりも断熱性も気密性も劣るものであるため、高気密高断熱を追求するのであれば、窓はできるだけ少なく、小さくする必要がありますが、それも「住む人」が満足できるレベルで追求すべきと代表は考えます。

「窓」にはいくつかのタイプがあります。日本で最も多く使われているのは引き違い窓だと思います。真ん中に鍵(クレセント錠)があって左右どちらからも開くことができるものです。確かに利便性は高いのですが、気密性は他のタイプに比べると劣ります。気密性が極端に低いと「すきま風」になりますが、さすがに今どきの窓ですきま風を感じることはないと思います。高萩建設ではYKK AP社のAPW330という窓を標準としています。この窓には引き違い以外にも、縦すべり出し、横すべり出し、ツーアクション(海外ではドレーキップという名前が一般的です)、FIXなどいくつかのタイプがありますが、引き違い窓とそれ以外の窓の気密性には大きな差があります。大きな違いは窓枠にパッキンが入っており、窓を閉める際にはそれを潰す形で閉めているのです。家庭によくあるビンの蓋にもゴムのパッキンがあると思いますが、それがないと横にしたときに中の液体が漏れ出てしまうと思います。

一般的な引き違い窓

横すべり出し窓(窓が外に張り出します)

ツーアクション窓(縦にも横にも開くことができる)

だいぶ引き違い窓をディスってしまいましたが、気密性能はさておき、日本の家としての利便性を考えると引き違い窓は選択肢から外せないのは事実です。どうしても外せない箇所は引き違い窓を選択し、それ以外の場所には引き違い以外のタイプの窓をおすすめしています。それぞれの窓の特長についてはまたの機会に説明させていただきます。

玄関のスマートキー

YKK AP社の玄関ドアにはオプションで通常の鍵でだけなく、車のキーレスキーのような鍵を選ぶことができます。写真はYKKAPのカタログから拝借していますが、カード状の鍵をドアに近づけたり、カバンの中などにリモコンキーを持った状態でドアに触れることでも鍵を開け閉めできるようになります。

                      YKK AP社のカタログより

わざわざ鍵を差し込むことなく開け閉めできるのでとても便利ですが、高萩建設ではそれ以外にも便利機能の追加の提案ができます。

スマートキーを付けたドアには、さらに追加のオプションで施錠/開錠をするコントローラをつけることが可能です。これを廊下に設置することで、来客の際にドアに触れることなくカギの開閉ができます。さらにインターホンと接続することで、インターホンで来客対応しつつ開錠することも可能ですし、就寝前の施錠をインターホンから操作することも可能になります。

玄関に取り付けた施錠/開錠スイッチ(上側)

インターホンから玄関の鍵をコントロール

もちろんオプションなので費用はかかりますが、施工されたお施主様にはそれ以上に満足してもらっています。

下の写真もYKK AP社のカタログから拝借したものですが、上記の機能はYKK AP社のインターフェースユニット YS KAG-B3にパナソニック社のどこでもドアホンや外でもドアホン、さらにそれらを接続する変換アダプタ―であるCZ-TA2を組み合わせることで実現できます。

YKK AP社のカタログより

玄関ドア一つとっても選択肢は非常に多いですが、ベストなご提案ができるよう、日々勉強を続けています。ご興味のある方はご相談いただければと思います。

D13@150

タイトルを見て何の話か分かる方は、相当家づくりの勉強をされているのではないかと思います。これは基礎のコンクリートの中に埋める鉄筋の仕様になります。家の基礎を構成する鉄筋コンクリートというのは、様々な外力から家本体を守ります。コンクリートが圧縮される力に抵抗し、鉄筋が引っ張られる力に抵抗して、家を支えています。コンクリートだけだと引っ張られたときにボロボロになってしまうので、鉄筋は重要なのです。

最初のD13というのは鉄筋の太さのことで、約13㎜の太さの鉄筋ということになります。@後の数字がピッチとなり、コンクリートの中に150mmごとに鉄筋が入ることになります。15センチの四角がたくさんできるということです。鉄筋のサイズは木造住宅ではD10なども良く使われています。また、ピッチは100mm~300mmあたりで組み上げられることが多いです。鉄筋の量が多いということは、引っ張る力に対して強いということになりますが、先ほどのコンクリートの耐圧縮力とのバランスで「太い鉄筋を細かく配置すれば良い基礎になる」とは一概には言えないのが家づくりの難しいところです。

高萩建設では、建設予定地の地盤調査を行った上で、設計士と建物の仕様や間取りを考慮し仕様を決めています。例えば、屋根を重い瓦屋根にするか、軽い金属屋根にするかなども考慮されます。

もちろん鉄筋だけでなくコンクリートの強度や、ベタ部分の厚み、立ち上がり部分の幅など、気を付けなければならないポイントはたくさんあります。お近くで新築現場を見かけたら、そういう視点からも観察されてはいかがでしょうか。

子供が開けない玄関

最近お引き渡ししたお施主様には小学生のお子さんがおりますが、そのお子さんが玄関のドアを開けるのがとても大変なようです。もちろん大人が操作すれば「ちょっと抵抗がある」程度なのですが、小学校低学年のお子様は難儀するようです。事前にドアが重くなるだろうということはお伝えしておりましたが、やはり予想通りの結果となってしまいました。

原因は建物の気密性が高いためで、ドアを開ける際にドアの面積分の空気を引っ張り出す分気圧が下がるのですが、それがドアの重さにつながります。特にキッチンの換気扇を使っているときは、換気扇で内部の気圧が下がっているため、その内外の気圧差でドアが重くなってしまうのです。高萩建設では同時給排の換気扇を使っていますが、それでも換気扇使用時は建物内部の気圧が下がってしまいます。気密が高い家というのは息苦しいのではないかと思う方もいるかと思いますが、第一種換気で計画的に換気されており、中にいても息苦しくなることはありません。

第一種換気とは家の中の空気を外に出す排気と、外の綺麗な空気取り込む吸気を機械的にコントールします。そのため、吸気のみを機械的に行う第二種換気や、換気扇で排気のみ行う第三種換気に比べ、空気の質のコントロールが容易になるのです。ただし気密が高くないと第一種換気でも設計通りの性能を出すことができません。設計想定外の隙間があると、そこから余計な空気が出入りしてしまい、換気のコントロールができなくなってしまいます。

ちなみに高萩建設では、玄関ドアにYKK AP社のイノベストD50を標準的に採用しています。このドアは仕様によっては同社最高断熱性能のイノベストD70と遜色のない性能を持ちながら、コストパフォーマンスが高いものになります。また、断熱性能を高めるためにドアパッキンなども特別製であるため、気密を高める効果も高くなっています。

海外メーカーまで範囲を広げれば、より性能の高いものもありますが、価格が高い上に、車のドアのようなスマートキー、キーレスキーが選択できるのは、やはり国産メーカーのものになります。イノベストD50のスマートキー(オプション)の紹介は別の機会にさせていただきます。